通い箱(リターナブルコンテナ)とは

 通い箱(通函、リターナブルコンテナ)とは離れた拠点の間を往復または循環し、リユース(再使用)して使われる輸送容器のことです。搬送物(製品・商品・部品)を納品したあとに通い箱を持ち帰り再使用することで、ダンボール(段ボール)箱などを使ったワンウェイの輸送で発生していた梱包資材費と梱包にかかる工数(人件費)を削減することができます。

 通い箱のなかには、坪量が重い丈夫なダンボール(段ボール)でできた通い箱や厚手の紙でできた通い箱など、様々な紙製の通い箱があります。製造業や流通業の物流では、プラモデルのように金型で射出成型したプラスチックコンテナコンテナボックス)が普及しています。
 プラスチックコンテナの素材は主にポリプロピレン(PP)で比重が0.9と水より軽くて扱いやすいため広く普及しています。また、冷凍倉庫で使われるポリエチレン(PE)製のものや、中には過酷な環境での洗浄用で使われるポリアミド(ナイロン(PA))製のものまであります。
 プラスチックコンテナの種類には、埃を寄せ付けにくい帯電防止品や電気を帯びにくい導電品に加え、バイオマスの製品もあります。

      

 プラスチックコンテナ以外ではオーダーメイドで自由なサイズで製作できるプラダンコンテナや、ハニカムコア構造のテクセルシートで作った通い箱などがあります。

      

 イワキパックス株式会社は、お客様が輸送する製品、商品、部品、また、輸送経路に合わせた最適な通い箱を選定します。その際、現状の使用環境による経年劣化(寿命)も合わせてヒアリングいたします。

プラスチックの通い箱のメリット 
① 環境負荷を低減できる

 通い箱を使わず、ワンウェイで一方通行の輸送をすると様々な資源を捨てることになります。その場合、出荷後の受入先(主に顧客の受入倉庫や工場)では外箱のダンボール(段ボール)、中の内装材(仕切り、ビニール袋やポリ袋、気泡入り緩衝材)がゴミとなり、綺麗なまま捨てることになります。

オリタタミコンテナに入った仕切りと緩衝材と電話機
     

 通い箱を導入すれば箱も中の仕切りや緩衝材も何度も使用でき、数年にわたり壊れることがありません。通い箱導入で限られた資源をリユース(再使用)でき、環境負荷を低減できます。

 

 これらはSDGsの「12.つくる責任 つかう責任 (英: Responsible Consumption and Production)」の理念にも合致しており企業のイメージアップにつながります。また、物流業界ではSDGsが浸透し始める2010年代以前から通い箱導入を推進していました。

採用事例NO.11
【段ボールでの搬入から、
通い箱に変更で廃棄物ゼロ。】

プラスチックの通い箱のメリット 
② 物流コスト(輸送コスト)を削減できる

 通い箱を使わず、ワンウェイで一方通行の輸送をするとダンボール(段ボール)のみならず、中の緩衝材(仕切り、ビニール袋やポリ袋、気泡入り緩衝材)、集合包装するためのストレッチフィルムを定期的に購入しなければなりません。

 

 それらの包装材はひとつひとつが安く、また、当たり前のように浸透しているため使用の是非を問われることが少ないです。
 そして、ワンウェイ輸送の方が通い箱輸送よりも梱包や開梱に時間がかかることが多く、さらにゴミを捨てる時間が問題になることがあります。
 通い箱と繰り返し使える仕切りをはじめとする緩衝材を導入することで、既にあげた副資材費の費用と工数(人件費)を削減することができ、総体として物流コスト(輸送コスト)の削減につながります。

数値で見る、通い箱の仕切り、緩衝材
《FLシリーズ》によるコスト削減

プラスチックの通い箱のメリット 
③ 搬送物(製品・商品・部品)を安全に輸送できる

 通い箱を使わず、ワンウェイで一方通行の輸送をする際、ダンボール(段ボール)箱などの外箱は決まったサイズのものを使う事が多いです。しかし、内装材については気泡入り緩衝材などの形状が不安定な緩衝材を用いて毎回異なる作業者が包装する場合があり、梱包の質にばらつきがでます。

ルーフレール用仕切りとプラスチックコンテナ

 通い箱を導入した輸送では同じ形状の搬送物(製品・商品・部品)を何百回と運びます。決まったサイズの通い箱と、搬送物(製品・商品・部品)にぴったり合った専用設計の仕切り(他 緩衝材)を使用すれば、搬送物を安全に輸送することができます。

プラスチックの通い箱のデメリット

 プラスチック製通い箱の一番のデメリットは単価が高く、採用時に見かけ上の費用が高くなることです。ダンボール(段ボール)の箱であれば経済的な数量を購入すれば百数十円ほどです。搬送物(製品・商品・部品)を守る仕切りや緩衝材についても100円未満のコストになることが多いです。
 それに比べ、通い箱は導入する際に単価で数倍以上の費用がかかり、オーダーメイドの通い箱を選択すると製品単価以外にイニシャルコスト(初期投資)としてプレスの型代がかかります。
 通い箱導入後にワンウェイ輸送としっかり比較して、効果を測定すれば通い箱輸送のメリットが数字で見えるようになります。しかしながら、メリットやデメリットを、定量的なもの定性的なものなものに分けて緻密に比較しなければ効果が見えにくい部分があります。

 また、通い箱を運用すると、ダンボール(段ボール)を使ったワンウェイ輸送よりも保管スペースが必要となります。さらに、たびたび紛失や盗難にあうこともあるので、足りなくなった数量を買い足さなければならないことがあります。通い箱導入前にはこういったデメリットを考慮する必要があります。

プラスチックの通い箱の寿命

 プラスチック製の通い箱の寿命は使用環境に大きく依存します。直射日光や雨風があたるところに置いてしまうと数年で劣化して使えなくなります。     

 屋内で保管すれば10年以上使えることもあり、20年以上使われている通い箱もあります。また、屋内で保管しても長時間にわたって油に浸したりすると、底ダレが発生して底の中心部分が膨らんでしまったりします。そういったプラスチックコンテナコンテナボックス)は洗浄する頻度が多くなることがあり、さらに寿命が短くなります。

ダンボール(段ボール)の通い箱のメリット

 ダンボール(段ボール)箱は手に入れやすく安価に購入できます。1度輸送したら捨ててしまい、箱を管理する必要もないので衛生的です。
 また、古紙としてリサイクルしやすい素材です。

     
段ボール(ダンボール)の通い箱
  

 ダンボール(段ボール)輸送は輸送試験の方法論が確立されています。圧縮荷重や使用環境などをシミュレーションし、実際の輸送環境に近い状況を試験機やコンピュータで再現できます。単価が高い搬送物(製品・商品・部品)を運ぶ際にはプラスチック製の通い箱よりも、歴史があるダンボール(段ボール)箱での輸送を選択する方が良い場合があります。

ダンボール(段ボール)の通い箱のデメリット

 ダンボール(段ボール)箱は1度使ってしまうとゴミになってしまいます。梱包する際にはひとつひとつ包装用テープで底を貼って組み立てなければならないので手間がかかります。
 また、プラスチックコンテナコンテナボックス)と違い、表面のライナーや中芯のフルート部から紙粉がでて輸送する搬送物(製品・商品・部品)に悪影響を与える場合があります。

ダンボールと緩衝材の廃棄物

 特に自動車部品などの輸送では、自動車部品が生産され始めてから廃番になるまでのライフサイクルが長く、ダンボール(段ボール)輸送を選択すると結果的に生涯の梱包資材費が膨らみ、環境負荷が大きくなることがあります。